平成 28 年 7 月 29 日
金澤伸浩
1.リスク教育タスクグループ(TG)の目的と概要
近年のリスク学の進展により、確率としてのリスクが科学的な判断に利用されるようになり、法律の策定や事故対応など、様々な場面で利用されている。しかし、一般にはリスクは言葉の定義すら様々であり、リスクを確率として認知し、意思決定に利用する市民は多くない。この原因は、ひとえにリスク教育の不足にあると考えられる。そこで、リスク教育 TGでは、確率としてのリスクの概念を理解し、個人がリスクを意思決定に利用できるようにするための教育プログラムを制作し,市民が講師となってリスク教育を普及する体制づくりを目標として活動を進めた。
活動は,まず参加型学修法を学会員に理解して頂くことから始め,プログラム制作を行いながら参加メンバーを増やす活動を行ってきた。また,TG 参加者が独自に行うリスク教育に生かすと共に,状況や成果の情報交換を行った。
2.年度別活動状況
TG の活動として呼びかけを行った活動は以下の通りである。
- 平成 26 年度
活動参加の呼びかけと活動方針の決定を行った。参加型のリスク教育プログラムを開発し,講師育成を含む教育の普及に取り組むこととした。以下の会議や講習会等を実施した。
①リスク教育 TG 第一回検討会(2014/5/23)
活動方針を決定し,コミュニケーションツールの導入を決めた。この時点での TG 登録者は 14 名であった。
②学会年会ワークショップ(2014/11/28)
参加型プログラムを体験して頂き,講演型とは異なる学修方法の理解の普及を図った。
- 平成 27 年度
教育プログラム(アクティビティ)の制作と講習形式の理解を広めるための活動を行った。学会員以外の参加者も加えて活動を行うことにした。
①アクティビティ制作検討会(2015/7/7)
新しいアクティビティ制作のための試行検討を行い,アクティビティの改良を進めた。
②アクティビティ勉強会(2015/9/26)
参加型教育プログラムによる一般向け勉強会を行い,参加型の学修とプログラムの制作や指導方法についての普及を図った。アクティビティのマニュアルβ版を制作し,参加者に配布した。
③年会ワークショップ(2015/11/20)
講習会型と屋台型のアクティビティの体験を通して,アクティブラーニングの意味と効果の理解を図った。この時点での TG 登録者は 23 名となった。
④プログラム検討合宿(2015/3/5~7)
新しいアクティビティの制作と教育効果測定のためのアンケートづくりの検討行った。
3.平成 28 年度以降の活動予定
平成 28 年度は,教育効果測定のためのアンケート制作を優先し,講習会等における教育効果を共通の指標で見られるようなシステム作りを行う。また,アクティビティの制作とマニュアル化を継続し,アクティビティ集を作成する。制作したアクティビティを用いたリスク学修会も開催し,プログラムの改善とリスク教育の普及を図る。目標とする教育システムの全体像の完成は,平成 32 年頃を目標とする。